年を重ねるたびに、羽目を外して痛飲すると二日酔いの激しいこと激しいこと。胃はムカムカ、頭ガンガン状態が午後まで続き、近年は下手をすれば一日では戻らず三日酔いになってしまう。肉体的不快感は言いようもなく、何でこんな思いをするほど飲んでしまったのかと、後悔と自己嫌悪に陥ってしまう。今日のお相手とは最低三軒はハシゴだなと言うときは、胃腸薬、ヘパリーゼ、ウコンと二日酔い予防セットをしっかり服用するのであるが、飲んでいるときは勢いが付き、美味しくぐいぐい飲んで抑えが利かないようだ。 |
若い頃は多少の二日酔いはシジミ汁やトマトジュース、牛乳を飲んだり、柿を食べたりして何とか回復させたものだが、今は肉体的不快感ばかりでなく、精神的にもひどく自己嫌悪に陥り、無気力、戦闘能力完全喪失、ぐでーんと無残に横たわっているしかないという状態。英国の作家キングズリー・エイミスは、このような精神状態を肉体的二日酔いに対して「形而上的二日酔い」(訳・吉行淳之介)と呼んでいるのである。 |
漸く起きだし、外を見れば、初夏の陽射しの眩しいこと眩しいこと。シャワーを浴びてもまだシャキッとせず、取り敢えずコーヒーを飲んでいざ出陣。胃の中は空っぽでも食欲は無し。こんな惨憺たる時に頭をよぎるのが中華粥である。 |
中華粥と言えば、横浜中華街の〔謝甜記〕。米と鳥一羽、ホタテもたっぷり入れて、グツグツ鳥の骨がとろけるまでじっくり煮込んだ本格的な中華粥である。今日は残念ながら横浜に行けないので、日比谷銀座界隈の馴染みの有楽町映画街、帝国ホテル近くの〔慶楽〕である。創業昭和25年の老舗広東料理店で、チャーハンは東京Vシュラン、チャーハン編で1位の絶品であるが、今日は『野菜粥』。真っ白い粥に、レタスの細切りだけが乗っているシンプルな中華粥である。熱々をレンゲで掬いフーフー言いながら口に含むと、塩味を効かせたコクのあるスープが朽ち果てた胃に刺激を与え、汗が出て、だんだん生気が甦ってくるのだ。 |
雲の峰 陽射し突き刺す 二日酔い |
酔宵子 |